[株式会社トラフィック・シム様事例]日本人だけの名古屋IT企業がグローバル組織を実現~ベトナムオフショア開発、インドネシアハイレベル人材採用支援

サービス概要

顧客情報 通信テクノロジー企業
製品 クラウドサービス、IoTシステム、その他
システム種類 WEBサービスアプリ業務
業界 通信
提供サービス グローバルを活用したチーム構築
利用技術 ReactPHPAWS
お客様プロダクト ・クラウドサービス
・IoTデバイス
プロジェクトテーマ ・ベトナムオフショア開発を通じたエンジニアチーム構築
・インドネシアエンジニア人材採用を通じたエンジニアチーム構築

該当する困り事

[グローバルを活用したチーム構築]急な案件にエンジニアを確保できず機会損失している

[グローバルを活用したチーム構築]成長著しいアジア市場へ進出するためにグローバルな組織づくりをしたいが、相談先が見当たらない

[コミュニケーション改革]外国人エンジニアを採用したが、言語や文化ギャップから意思疎通がうまくいかない

プロジェクトの課題

株式会社トラフィック・シム様について


 トラフィック・シムは、デジタル放送向けの、自動監視・記録・モニタリングソリューションを開発・提供する会社です。主に放送や映像配信の安定運行を影から支えるシステムですが、これまでの納入システム累計監視対象チャンネル数は5000チャンネル以上に及び、今日では、全国に複数拠点を持つ大規模監視記録システムの構築なども手がけています。

 デジタル放送分野での専門性と、ICT分野で世界に追従する先進性を持つ同社は、システム設計・構築において、自社設計ハードウェアや自社開発ソフトウェアでの実現をコアとしつつも、必要に応じて、他社ハードウェアやオープンソースソフトウェアなどの利用も積極的に行い、お客様にとって最適なソリューションを提供しています。

ハイレベルエンジニア獲得は年々困難に、そして、グローバル展開に対応できる組織をどう作っていくか?

 
 トラフィック・シム様では、エンジニアの採用にあたって、求人媒体経由での即戦力エンジニア採用や、新卒学生においては、インターンの実施など、様々な経路での採用活動を行っていましたが、ハイレベル(ハイポテンシャル)のエンジニア獲得においては、年々採用難易度が増していました。その背景にあったのは、少子化や理系学生の減少により候補者母数低下や、候補者の大手企業志向傾向といった中で、高い技術ポテンシャルを持った層が年々減ってきていたことでした。

 一方、トラフィック・シム様では、国内向け事業が主体ながらも、既に南米ブラジル向けに販路を開拓したり、海外展示会にも定期的に参加するなど、グローバル展開を積極的に進めていく意向もありました。一方、日本人のみの社内組織では、英語を使う機会も限定されており、一部のメンバーだけが海外対応をするのみの、ドメスティック文化となっていたため、今後さらに事業をグローバル展開していくためにも、社内組織カルチャーのグローバル志向をより醸成していきたい、そんな思いが社長にはありました。

 グローバル展開の強化を考える中で、社内の英語対応の促進や、グローバル開発チームの構築、グローバル組織・カルチャー作りへの高い関心をお持ちだったトラフィック・シム様からの相談に応える形で、当社は2018年からトラフィック・シム様のグローバル組織作りの支援を開始しました。

当社が提供したグローバル開発コンサル領域

ベトナムオフショア開発を通じたグローバル化の素地作り

 
 トラフィック・シム様に当初ご採用頂いたのは、当社のグローバル開発ソリューション、具体的には、ベトナムのオフショア開発でした。「オーダーメードグローバルチームプラン」という、お客様がまさにほしいエンジニア人材を、当社がベトナムの開発拠点で新規採用し、100%専属エンジニアとして、お客様プロジェクトに全力従事するプランでした。
 
 求めたエンジニアは、PHPスキルを軸として、フロントエンド開発にも対応できるフルスタックエンジニアでした。それは、単に仕様通りに機能の一部を開発してもらうエンジニアを求めたのではなく、製品開発において、自ら、ユーザー視点に立って、いかに使いやすいシステムを作るかを自ら考えられる人材を求めていたためでもあります。
 
最初に採用されたのは、Minhさんというフルスタックエンジニアで、本プロジェクトへの参画を強く希望し、また、PHP/Laravel, MySQL, JavaScript, Linux経験がある他、英語力も非常に堪能であったため、そのコミュニケーションの高さからも高く評価されました。
 
 
2018年から2023年現在まで、活躍するフルスタックエンジニアのMinhさん
 
 トラフィック・シム様に参画したMinhさんが任されたのは、在庫管理に関するクラウドサービスの新規開発プロジェクトでした。トラフィック・シム様の担当ディレクターの方とチームを組み、グローバルリモート体制での新製品開発プロジェクトが始まったのでした。
 
 通常、オフショアアウトソーシングにおいては、コミュニケーターやブリッジSEと呼ばれる日本語を介して双方の間で、コミュニケーション仲介を行う立場のポジションを置くことが通常ですが、社内での英語利用の促進を目指すトラフィック・シム様においては、敢えてこのポジションを排し、直接英語でのコミュニケーションすることをDay1から始めました。お客様側の担当ディレクターの方も決して英語が得意ではありませんでしたが、チャット用の翻訳Botを活用したり、自ら英語学習をすることによって、言語の壁をなくしていったのです。
 
 グローバルリモートでの製品開発を進めるにあたっては、様々な課題も生まれました。順調に開発は進んだものの、トラフィック・シム様の希望としては、単に仕様通りに開発するだけでなく、ユーザー視点に立って、どんなUI、機能であればもっと使いやすいか?もっと考えさせずに操作ができるか?といった姿勢に立つことをMinhさんに対しても求めました。当初は、アウトソーシングエンジニアの役割は「仕様にあるものだけを開発する」こととしていたマインドを「仕様から外れたとしてもユーザーにとって最適な設計にする」というプロダクトエンジニアのマインドへ意識改革することが重要な鍵となりました。
 
 トラフィック・シム様では、このように、まずはベトナムオフショア開発を通じて、自社の開発需要に不足するハイスキルエンジニアを確保するとともに、グローバル組織作り・グローバルカルチャー浸透への素地作りを行っていきました。
 

2022年よりトラフィック・シム様ベトナムチームに参画したフルスタックエンジニアのTinhさん
 

インドネシア人エンジニアの自社採用

 
 トラフィック・シム様からは、グローバルリモートでの開発体制に加えて、日本本社で一緒に働けるグローバルエンジニアの獲得についても相談を受けました。2019年に、当社が提携するインドネシア工学系大学である、バンドン工科大学(Institute of Technology Bandung 以下ITB)において、日本で働きたいエンジニア学生向けの就職イベントを開催することとなり、トラフィック・シム様もご参加頂くことになりました。
 
 アジアのエンジニア活用といった際に、中国、インド、そしてベトナムが有名ではありますが、インドネシアはまだまだ日本においては、その人材ポテンシャルの高さが知られていません。インドネシアは、ユニコーンと呼ばれる時価総額1000億円規模のハイテクベンチャー企業を多数輩出しています。ライドシェア・EコマースのGoToなどは有名です。また、ハイテクベンチャー創業者が教育大臣となってデジタル人材の創出を国として推し進めています。そして何より若年人口の多さは世界でもトップクラスです。
 

ITBの正門
 
 ITBはインドネシアのバンドンにある州の共同教育研究大学です。 1920年に設立されたITBは、インドネシアで最も古い技術指向の大学で、技術系では国内トップの学校です。こちらで当社が企画する日本で就職したいエンジニア学生向けのキャリアフェアにトラフィック・シム様にご参加頂きました。
 

どれだけの反響が得られたのか

 
 ITBで開催されたフェアには、約650名の学生や日本への再就職を目指す若手エンジニアが集まりました。参加企業のセミナーにもぎっしりと集まり、真剣な質問が相次ぎました。
 

キャリアフェアエントリーに出来た長蛇の列
 

真剣にセミナーを聴講する参加者
 
 トラフィック・シム様からも、社長の福間様自ら、セミナーに登壇し、学生へ熱い説明を展開しました。出展ブースにもひっきりなしに学生が訪れ、エントリー用のレジュメを投函していきました。初日は、全体セミナー、グループ説明会を経て、投函されたレジュメをその場で選考し、100名近いエントリーがあった中、20名以上の一次面接を実施しました。一次面接をクリアした6名の候補が翌日のコーディングテスト会・最終選考会に参加することとなりました。
 

出展ブースにてグループ説明を実施
 

 

一次面接の様子

 

セミナーで登壇する福間社長
 
 翌日開催されたコーディングテスト兼最終選考会は、ホテルの会議室を貸切って実施しました。課題を渡して、実際にコーディングに臨む候補者の様子をリアルタイムで評価することで、コーディングの結果だけでなく、その結果に至るまでのアプローチも見ていきました。結果的には、2名の優秀な若手エンジニアが採用されることとなりました。後日談ですが、このコーディングテストを正確にクリアしたのは、これまで日本国内での採用の歴史でも僅かしかいなかったとのこと。いかに優秀な人材が来てくれたかが分かるエピソードでした。
 

最終選考会の様子
 

トラフィック・シム様、当社、提携する現地コンサルタントのSTMJ様での集合写真
 

国内でのインドネシア人エンジニアの受入れ

 
 2名は、無事VISAを取得し、晴れてトラフィック・シム様の名古屋本社勤務が始まりました。インドネシアはイスラム教国家ということをご存知でしょうか。実に国民の9割がイスラム教徒と言われ、入社した2名も同様でした。イスラム教徒には、一日に数回、必ずお祈りを行うことが義務付けられています。お祈りのカルチャーを現地訪問時に知ったトラフィック・シム様では、2人を新たに自社に受け入れるにあたって、本社内オフィスの一区画をお祈り部屋として階層し、そこに手足を洗える洗面台も設置しました。
 

内装工事中の祈祷部屋
 
 このような文化的・宗教的配慮は、マイノリティとして、初めて住む外国、初めての外国企業にとって、非常に安心感や尊敬心を与える非常に意義ある取組です。

最終的なお客様への価値

グローバル組織がイノベーションを創出

 
 2020年に入社した二人は、製品開発や営業技術サポート、プレゼンテーション作成など様々な面で目覚ましい活躍をしてくれました。そして、2人の外国人メンバーを受け入れたことで、それまでのドメスティックな社内カルチャーも少しずつ変化していき、多様性に対してオープンになっていきました。社内でもインドネシアメンバーとのミーティングが英語で実施されたり、インドネシア人メンバーのお祈り時間に予定が入らないよう配慮する、などお互いの文化について尊重し合うなど、グローバルなカルチャーが少しずつ根付いていきました。
 
 その翌年も、コロナ禍の中でもオンラインフェアを通じて、トラフィック・シム様のインドネシア人採用をお手伝いしました。そして、2023年1月現在では、
 
5名のインドネシアエンジニアがトラフィック・シム様の日本本社で勤務しており、さらに、ベトナムグローバルリモートのエンジニアが2名と合計7名のグローバルメンバーが活躍している状況となっています。
 
 さらに、グローバルメンバーを統括する英語堪能な日本人リーダーも採用することで、トラフィック・シム様のグローバル組織が、一段と強固なものとなっています。製品開発から、営業メンバーの技術サポート、そして海外販路に向けたプレゼンテーションなど、技術力だけでなく、グローバル人材だからこその高い英語力や表現能力から、トラフィック・シム様の新しい国際イメージを創り出しているのです。
 
 また、ベトナムオフショアメンバーにおいても、アウトソーシングという枠組みながらも、現在はトラフィック・シム様の新製品開発の重要な役割を担っています。日本、ベトナム、インドネシア、とアジアを股にかけたグローバル組織が生まれ、多様性を乗り越えたイノベーションを創り出しています。
 
 トラフィック・シム様では、将来的には、インドネシアオフィスを開設し、インドネシアメンバーがそこのリーダーとなって、今度は成長目覚ましいインドネシア市場を開拓していくことを見込んでいます。日本のモノづくり力と、インドネシア人ならではの市場と文化理解を兼ね揃えた彼らが、どんなイノベーションをトラフィック・シム様にて生み出してくれるのか本当に楽しみです。
 

トラフィック・シム社長福間様のコメント

 
 最後に、トラフィック・シム社長である福間功史様へのインタビューコメントを紹介したいと思います。
 
Q1. グローバル組織を作ったことで、社内にはどんな変化が生まれましたか?
 
日本のIT企業が、日本市場に閉じて仕事をしていくことは今後通用しない、これからは世界に出て、グローバルで競争力のある製品作り、チーム作りをしていくことが不可欠、そういった感覚、危機感といったセンスが、社内に自然と浸透しつつあると思います。
 
Q2. グローバル人材を組織に受入れることや、外国人との社内コミュニケーションは困難も多いと思いますが、そこに取り組む意義はどんなところにありますでしょうか?
 
一番の意義は、当社がグローバル標準の人材を生み出し、グローバル標準の組織を実現することにあります。また、コミュニケーションの難しさは、外国人同士ではなく、同じ日本人同士でも正確に意図を掴み取ることは簡単ではありません。難しいコミュニケーションを乗り越えて、人材の価値を発揮させることは、これまでも、中小企業が競争力を維持していくために、非常に重要なことだと考えています。
 
Q3. これから貴社のグローバル組織の展望はいかがでしょうか?
 
インドネシア現地に当社の支社を作りたいと思っています。今のインドネシアメンバーの誰かが、その支社のリーダーとなって、現地の顧客開拓や、市場に適合した製品作りを牽引してくれることとなれば素晴らしいと思っています。
 
Q4. ディレクトリジャパンをパートナーとして選んで頂いた理由を教えてください。
 
決まったソリューションをそのまま適用するのではなく、その時その時の当社事情や希望に沿って、最適な企画を練ってくれるところがありがたいです。また、当社のミッションやカルチャーを理解して、同じチームの一員として取り組んでくれています。
 

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