ノウハウ記事
ベトナムオフショア開発を活用したアプリ開発のやり方とコツ
ディレクトリジャパンナレッジチーム編集
2022年2月22日
◆目次
1.モバイルアプリの今
今日の私たちの生活において、なくてはならない代表的な物の1つがスマートフォンでしょう。最近では、小学生の使用も珍しくはなく、幅広い世代に浸透しています。基本的には、Apple社が販売しているiPhoneと、Google社が開発するスマートフォン用OS のAndroidが入った各メーカーのスマートフォンに分かれます。
スマートフォンの最大の魅力はなんといっても豊富なアプリケーション(アプリ)と言えるでしょう。主に家族、友達とのコミュニケーションツール(チャット含む)として使われるLINEやMessengerなどのメッセージアプリや、Instagram、FacebookなどのSNSアプリ、その他にもフォートナイト、マインクラフトなどのゲームアプリ、メルカリなどショッピング(EC)アプリ、Spotifyなど音楽視聴アプリなど、手のひらの1台の画面から様々な用途やシーンで楽しむことができることから、スマートフォンは今、世界中で普及しています。
このように、多様なアプリケーションがある中、最近特に注目されているのが「ライブ配信アプリ」です。コロナ禍での外出制限やウイルス感染への不安から対面でのコミュニケーションに対し躊躇・断念する環境が続く中で、人を身近に感じることができるからと言えます。
以前からライブ配信アプリはいくつかありましたが、ここ数年で更に市場も拡大してきています。考えられる主な理由としては、コロナの影響で企業が休業や倒産し、各個人の収入が大幅に減ったため、副業としてライブ配信を始めた人や、公演イベントの休止が相次ぎ各所で配信イベントをする機会が増加したことが大きいと思います。
また、1人暮らしをしている方にとって、昨今の状況下でライブ配信を通じて、リアルタイムで人と繋がれることで、まるで一緒にいるかのような体験ができ、配信者と視聴者との距離が近いことも魅力の1つでもあると思います。
当社でも直近、ライブ配信アプリのプロジェクト開発の支援を行っており、本アプリにおけるコンテンツや最適UI/UXデザイン等豊富な知見を持ち合わせております。今後も配信者・視聴者が共に気軽に楽しめるサービスとして益々需要が高まっていくと期待しています。
2.オフショア開発を上手く回すためのコツ
さて、ここからは、当社におけるベトナム開発チームと連動したライブ配信アプリにおける運用・開発支援経験から、オフショア開発においていかにアプリ開発を適切に運用するためのノウハウを紹介したいと思います。
オフショア開発の場合、外国人とのコミュニケーションが必須となるので「分かりやすく、簡潔に」を意識し相手に伝える必要があります。言葉の壁を埋めるべく、ブリッジSEやコミュニケーターといった日本語堪能な方が間に入って通訳しながら進めていくことが大半です。
しかし、日本語堪能と言っても個人差はあるので、長々と文字を連ねる説明や仕様書では、複雑な仕様であったり、デザインイメージがなかったりする場合には、オフショア側は理解に多くの時間がかかってしまいます。また、認識がずれたまま開発をしてしまうと、結果的に手戻りが発生する事態もオフショア開発では少なくありません。
このような事態に陥らないためにも、日本側で出来るだけ詳細に仕様の定義や説明をすることが重要になります。品質を保った手戻りのないスムーズな開発を実現するためには必要不可欠なのです。
当社では仕様理解やイメージを膨らませるために、一例として下記のような取り組みを行っています。
1.要件定義の段階で、細かく仕様やイメージについて議論し、その場での質疑対応によって認識祖語を防ぐ。
2.UIデザインの最適化を図るため、お客様の希望、UIデザイナーによりモックを制作し、オフショア開発チームとも協議の上、アプリデザインに落とし込む。(競合アプリのベンチマーク調査・分析も実施)
3.管理画面等の運営者のみが利用するバックエンド側のデザインは、デザイン制作は行わず、既存UIの延長レベルでオフショア開発チームにて定義してもらい、コストを抑える。
4.いきなり実装に着手するのではなく、事前にテストケースを作成し、完成形にズレがないかオフショア開発チームと双方で確認した上で開発することで、品質担保にも繋がる。
大事なポイントとしては、最初はざっくりでも良いので、お客様とオフショア開発チームも含めて、どのようなものを作りたいのか、完成形のイメージを共有することです。基本的にこれらのプロセスが出来ていれば成果物に対するクライアント評価にもつながります。
3.オフショア開発におけるアプリ開発の注意点
モバイルアプリの場合、大きく分けてiPhone・androidの2つのデバイスでの開発がメインになるかと思います。各々ストア申請(Apple,Google play store)~アプリリリースまでのプロセスで注意すべきことがあります。
iPhoneはストア申請の段階で、Appleによる厳格なチェックが入ります。リリースするための情報が不足していたり、UI上の問題等があったりする場合には、申請がリジェクトされることも多々ありますが、審査はアプリリリース前に実施されるため、ユーザーに影響を与えることなく対処することが可能です。
申請がリジェクトされた場合、情報の追加や不具合対処等、基本的に手を加え再度申請し、通れば、最長でも2週間でリリースすることが可能です。
一方、Androidは少し特殊です。リリース前審査がAppleほど厳しくはないため、比較的容易にアプリリリースができますが、リリース後のバージョンアップの際に、以前は審査合格していた機能が規約違反扱いと判断され*、アプリ停止となってしまう、といった事例もあります。また、再度修正をして申請をしたとしても、連続して違反判断を受けてしまうと、アプリ自体は永久削除となるリスクもあるため、最審査の際は、可能な限り修正すべき要素を明確に確認するためのプラットフォーム側とのコミュニケーションも重要な鍵となります。
*規約は随時更新されるため、審査基準も変わります。
このように、アプリリリースは、申請先ストアや申請する機能によって、審査基準や守るべき規約が異なるので、慎重な対応が常に求められます。これら審査トラブル時のコミュニケーション対応や、随時アップデートされ続ける規約への対応方針検討には、海外のオフショア開発チームだけでの対応は現実的ではなく、国内ディレクションチームによるきめ細かな対応が必須となるかと思います。オフショア開発チームの強みと国内ディレクションチームの強みそれぞれを活かしたコラボレーションが鍵となります。
4.最後に
スマートフォンが普及し続ける世界で、今後も数多くの新しいアプリケーションが生まれ、日常がもっと豊かに便利になると思います。国内の開発のみならず、海外人材と共に作り上げていくオフショア開発でも、こちらで紹介したような国内外のハイブリッドチームでの最適プロセスによって、日本同様の品質を維持しながら、適正なコストで開発することができるので、非常におすすめです。最後に、アプリ開発プロジェクトにおいて、日本側デザインチーム、オフショア開発チームが連携し、アプリUXデザインを全面刷新した事例記事をご紹介します。