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オフショア開発よくある「問題」と「解決策」~課題の背景から探る
ディレクトリジャパンナレッジチーム編集
2023年1月25日
オフショア開発と言えば、「開発コストが安い」「人件費を抑えられる」等のコスト面でのメリットが多いイメージが強いかと思います。
一方、デメリットとしてはオフショア開発経験の有無に限らず「コミュニケーションが上手く取れるのか」「品質担保できるのか」等、多くの不安や課題、懸念を持っている方が多いかと思います。
そこで今回は、オフショア開発でよくある課題と共に改善策・当社での取り組みを紹介したいと思います。(なお、当社では主にベトナムでのオフショア開発を主体におこなっております。)
目次
1.オフショア開発であるよくある課題と問題
・同じ質問が何度と来る、1回で理解してくれない
・仕様通りの成果物が上がってこない
・こちらから(日本側)連絡しないと連絡してくれない
・指摘しても直っていない
このような課題がオフショア開発では実際に多く存在します。
やはり言葉の壁から生じるコミュニケーションの問題や品質についての課題が大半を占めています。
上記の課題を解決するには、まずは、課題に対する背景を知ることが1つのポイントとなります。背景を知っているのと知らないのとでは、オフショア成功が大きく変わります。今後オフショア開発を成功させる為には、オフショア開発側の事情や背景を知って理解した上で上手にマネジメントしていくことが課題解決に繋がります。
2.課題と問題の背景を探る
さっそく課題に対する背景を見てみましょう。
課題1:仕様通りの成果物が上がってこない
➡最終的に使うユーザーのことを想定して開発していないという背景
課題2:指摘しても直っていない
➡開発者自身でテストしないという背景
課題3:同じ質問が何度と来る、1回で理解してくれない
➡後から修正すれば良いと考えて、まずは作ってみる・手を動かす、スタイルという背景
課題4:こちらから(日本側)連絡しないと連絡してくれない
➡ホウレンソウを重要視していないという背景
このように各課題にたいして背景があり、解決には、これらの背景を踏まえた対応をしなければ、効果を期待することができません。
当社では、このようなオフショア開発側の背景を踏まえてアプローチを取っております。
3.改善策・当社取り組み例
こちらの改善策はあくまで最適なアプローチを取る為の一例となっております。
もし、現在オフショア開発をしていて上手くプロジェクトが進んでいなく困っている場合、こちらの改善策を参考に実践してみるのも良いかもしれません。
課題1:仕様通りの成果物が上がってこない/同じ質問が何度と来る、1回で理解してくれない
➡当たり前ですが、プロダクトを理解することが非常に重要です。特に言葉の壁がある場合、仕様を正確に理解することはとても難しいです。
そこでまずは、お客様に説明会を実施していただき、
[どういったプロダクトを作るのか]
[どんなユーザーが何の為に使うのか]
[絶対に達成すべきポイント・期待していること]
などと、より深掘って伝えることで確実に理解度がアップします。
次のステップとして、タスク単位で不明な箇所については仕様に対する説明会を実施する、また、技術的なことに対してのディスカッションの場を設ける等を実施します。
課題2:指摘しても直っていない
➡オフショア開発プロジェクトにおいて、多くの企業ではエンジニア自身でテストをせず、別の人間をアサインすることが非常に多いです。その為、不具合が多く発生してしまい、結果的にお客様からの指摘や、オフショアチームによる修正に、多くの時間と工数がかかってしまうのです。
だからこそ、エンジニアの役割の中にテストという役割も入れることが良いです。また、当社ではプロジェクトが始まる前に開発ポリシーについての説明会を実施し、エンジニア1人1人が自身でテストをすることを認識しております。
さらに、テストケースもエンジニアに記載してもらうことで、アウトプットを理解した上でテストケースに沿ったテストを実施し品質を高めています。
課題3:こちらから(日本側)連絡しないと連絡してくれない
➡必然的にオフショア開発チームから報告をあげられる環境をセットアップすることが重要です。
例えば、開始時と終業時にレポートを各エンジニアに提示していただきます。その際、1日の成果予定、困っていること及び最終的な成果見込みに対する結果を記載することで管理者側もより進捗具合を把握することができます。
また、課題管理ツール等を活用してモニタリングすること、何か課題が起こりそう、また、実際に問題が起こった際にはできるだけ早い段階で踏み込み、改善策をお客様、オフショアチーム全員が問題を理解した上で改善策を共有し良い方向へ進めていくことが大事です。
4.まとめ
オフショア開発は決して簡単ではありません。コストメリットの一方で、国内開発にはない難しさがあります。問題に直面した時に、ただ指摘するだけではオフショア開発チーム側も問題性を認識していなかったり、日本側にとっては当たり前の解決手法に対応できなかったりすることが多々あります。
それゆえ、オフショア開発チームの特性やカルチャーを踏まえて、日本×オフショアの良さを掛け合わせて新スタンダードを作っていくことがとても重要です。
本記事のフル画像付き全編記事は下記よりダウンロードできます。
次の章では、当社におけるオフショア開発プロジェクトで発生した課題の実例と、どのようなやり方で問題を解決したか、について詳しく書いた事例記事を紹介したいと思います。
5.プロジェクト毎の課題と解決事例
最初に紹介するのは、オフショア開発メンバーが、依頼された機能の全体像が見えずに仕様の深い理解ができない課題のお話です。
お客様のエンジニアメンバーと、グローバルチームのエンジニアが直接やりとりする形であったものの、明確な要件定義書がない中で、依頼と検証のキャッチボールを進めていたが、新機能のゴールが定まっていないため、機能がいつ出来上がるか、どこまで出来上がっているかという状況が見えなくなっていました・・・詳細はこちら
次に紹介するのは、オフショア開発のエンジニアが仕様通りに開発するものの、実際の操作感や使い勝手に問題があるという課題のお話です。
ベトナムのオフショア開発エンジニアは、サービス設計フェーズから参画し、受領した要件定義を基に、お客様のディレクターと密に連携しながら、詳細画面やUIを設計・開発していきました。アプリケーションは順調に製造し、動作もしましたが、出来上がって実際の社内ユーザーが利用してみると、メニューやボタンの位置が分かりづらいなど、使い勝手における課題の指摘が上がっていきました。お客様のプロダクトオーナーからも、本製品は、社内だけでなく、ゆくゆくは社外への外販を想定して製品開発を行っているため、この状態では社外ユーザーが使うレベルからはほど遠いという指摘があり、プロジェクトとして、UX/UIの大幅な見直しが求められました・・・詳細はこちら
最後に紹介するのは、アプリプロダクトのオフショア開発において、ユーザーが満足するデザインが実現しない課題のお話です。
記事2:配信アーティストが「わくわく」するデザインをどう実現すれば良いのか
アーティストのトークライブ配信アプリとして順調にユーザー数を伸ばしていましたが、アプリUIは、リリースして以降数年、ほとんど変えていない状態でした。アプリの初期から関わる主要アーティストユーザーから、全体のデザインや操作性について、変えてほしい、もっと配信するアーティストがわくわくするようなものにしてほしい、という要望が強まっていました。一方、「20代のセンスの良い男性」が「わくわくする」という直感的なイメージをどうデザインとして実現すればよいのか、さらに、単に見栄えだけでなく、操作性含めた使いやすさを両立した形で、どうデザイン・開発を刷新していけば良いかがお客様では見いだせていない状態でした・・・詳細はこちら
是非、オフショア開発を検討する上で、どんな課題や問題があるのか、それらは解決することができるのか、といった情報を知って頂ければ嬉しいです。もし、実際の開発や案件の性質や、貴社開発体制の状況から、オフショア開発利用にあたって、どんな課題や問題がありそうか、相談したい、という場合は是非、当社の無料相談会にお気軽にご相談ください。