ディレクトリジャパンナレッジ記事Vol.1
オフショア開発会社の比較~「開発体制と役割」から見た4タイプとその違い
ディレクトリジャパンナレッジチーム編集
2020年11月11日
目次
2.オフショア企業の比較
オフショア開発企業については、国内におよそ300社いると言われています。オフショア開発と一口に言っても、オフショア先の国としては、中国、インド、タイ、ベトナム、また、最近ですと、ミャンマー、フィリピンなど多岐に渡っています。
中でも最近において、最も日本企業から注目され、市場拡大傾向にあるのが、ベトナムです。ベトナムのオフショア企業においても、日系企業が現地子会社にて運営する会社の他、ベトナム現地で創業されたベンチャー企業など、様々なタイプ、規模の会社が存在しています。
そんな中で、自社の戦略、開発文化、案件内容において、最適な会社はどこなのか?
という問いへの答えは難しく、さらに、初めてオフショア開発に挑戦する場合、そもそもの比較対象もないため、意思決定は非常に悩ましいものになるかと思います。
比較を行う場合においても、「コスト」、「技術」、「経験」、「規模」など、様々な軸が存在するだけでなく、軸毎に、どうやって評価をするべきなのかも難しいかと思われます。
そこで、今回、ディレクトリジャパンチームにて、過去に当社が協業してきた、または、詳細導入検討を行った、また、展示会などイベントを通じて、情報交換を行ってきた、大小約30社のベトナムオフショア開発企業を、大きく4つのタイプに分け、各タイプの特徴が最も表れるであろう「体制スキーム」をベースに、その違いを明確にするとともに、自社にとって最も相性の良いタイプはどこなのか、のヒントを得て頂ければと思っております。
オフショア開発成功は、発注先パートナー企業との相性、つまり、自社が求めている開発の内容(やり方や予算)を、最も得意とするパートナーを選定することが最も重要なのです。
2.オフショア企業の比較
まずは、一つ目のタイプを紹介します。
タイプ1企業の特徴としては、発注側の日本企業と、ベトナム人開発チームの直接管理を行う点にあります。
ベトナム人ブリッジSE(顧客とベトナム開発チームをブリッジ/繋ぐ役割として、日本語コミュニケーションと要件伝達を担当する)を自社とオフショア開発チームとのコミュニケーションの軸に開発チームへ指示を行っていく形となり、さらに2つのパターンに分かれます。
- 国内ブリッジSE常駐型
日本語対応ができるブリッジSEが日本の発注企業のオフィスに常駐し、開発に関するコミュニケーションは、原則このブリッジSEと直接やりとりを行い、その内容をブリッジSEからベトナムオフショア側に指示を出す形となります。
顧客企業にとっては、直接ブリッジSEと常時コミュニケーションが取れることが安心材料となります。
- ベトナム顧客常駐側
顧客企業側の担当者がベトナムへ赴任し、オフショア開発現場へ常駐することで、現地ブリッジSEを通じたコミュニケーション、開発管理を行うケースとなります。
現地赴任というハードルはありますが、ベトナム開発メンバーと直接仕事を行いますので、チームの結束が高まることが期待されます。また、原則はブリッジSEを通じたコミュニケーションとなりますが、常駐することで、開発メンバーとのダイレクトなコミュニケーションや進捗確認を取れることもメリットとなります。
本タイプの大きな特徴は、プロジェクトの成否の大半が顧客側の管理能力やコミットに寄るという点です。
顧客企業側で、直接オフショア開発チームを管理していくことができるため、開発内容ややり方に関して自由度が高い反面、ベトナム人開発チームを適切に管理し、最適化させていける能力、そしてコミットメントがないと運用は難しいともいえます。
もちろん有能なブリッジSEによって、カバーされる点はありますが、その場合、アサインされるブリッジSE次第または、そのメンバーが抜けてしまった場合には、品質維持が難しくなります。
2つ目は「システムインテグレーター」タイプとなります。
こちらは、主に企業の業務システム、基幹システムといった開発案件に強みのある企業となり、日本のシステムインテグレーターの開発アプローチをベトナムオフショアにて実現する、タイプとなります。
オフショア開発企業が最も得意とするのが、開発部分ですが、逆に言葉や文化の壁もあり、要件定義や、基本設計といった上流工程は不得意なケースがほとんどですが、こちらのタイプにおいては、それら上流工程を、予め日本人のSEメンバー、インフラ担当が実施し、その内容をベトナムチームに指示していく形となります。
このため、顧客企業側としては、ほぼ日本のシステムインテグレーターに指示するのと変わらない形で、開発を進めていくことが可能となります。
タイプ1と異なり、ベトナムオフショアチームの管理を直接行う必要がなく、パートナー側の日本メンバーに任せることができるため、管理負荷が小さく、また、ベトナム開発チーム管理ノウハウを持ったパートナー社員がベトナムメンバーを管理するため、一定の開発品質が期待できる点も大きいです。
最大の難点は、やはりコストにあります。日本側のSEやインフラ担当に関しては、日本人メンバーが対応するため、当然ながら日本企業への発注とコストは変わりません。
一方でオフショア側の開発メンバーに関しては、コスト削減が図られます。ただ、ベトナム開発チームの品質を担保するために、開発者とは別にテストを行うQAチームを置く必要があるため、その分のコストは必要となります。
3つ目は「ベトナム独立系企業」タイプとなります。
タイプ3企業の特徴として最も大きなものは、経営トップはじめ完全にベトナム人のみでサービスを提供する、という点となります。
多くは、日本語堪能かつ日本での開発プロジェクト経験豊富なブリッジSEが日本ベトナムに在籍しており、日本語ベースにてリーズナブルな価格で開発を依頼できることができます。
- 国内ブリッジSE常駐型
日本語対応ができるブリッジSEが日本の発注企業のオフィスに常駐し、開発に関するコミュニケーションは、原則このブリッジSEと直接やりとりを行い、その内容をブリッジSEからベトナムオフショア側に指示を出す形となります。
顧客企業にとっては、直接ブリッジSEと常時コミュニケーションが取れることが安心材料となります。
- ベトナム顧客常駐側
顧客が完全リモートでベトナム開発チームに仕事を依頼する形式で、日本語対応ができるベトナム現地のブリッジSEを通じたコミュニケーション、開発管理を行うケースとなります。
現地側のブリッジSEは日本語コミュニケーションが取れますが、完全リモートのため、現地の状況が見えづらく、難易度の高い開発管理が要求されます。
本タイプは最もコスト的にはリーズナブルではありますが、ベトナム企業ということで、原則として(日本人メンバーがいるケースもあります)、日本人サポートが得られない、という点、また、リモートラボ型においては、現地のベトナム人開発チームを完全リモートで管理していく必要があるため、難易度も最も高いと言えます。
システムの新規構築プロジェクト、特に開発者5人を超えるような規模のチームにおいては、リスクが高く推奨しません。
4つ目は「日本人直接サポート型」(当社)タイプとなります。
こちらは、当社が採用しているタイプとなりますが、ベトナム側では、日本語対応ができるPM・ブリッジSEを置き、その下にエンジニアを置く、という点は一般的ですが、かならず、ブリッジSEと併せて、ベトナム側にアーキテクチャ・品質管理を担う経験豊富なアーキテクト(技術統括)人材を置きます。
基本的な、進捗管理・報告、そして、要件理解、資料作成といった対応は、ブリッジSEが行い、アーキテクトは、各開発者のコーディング品質や、詳細設計内容をレビューするとともに、決められた開発ルールを守るようモニタリング・指導します。
他のタイプとの大きな違いは、日本側からのサポート(クオリティマネジメント)が入ることによって、オフショアチームとのコミュニケーションや、プロジェクト管理、成果品質に関して、標準化が図られることにあります。
オフショア開発の失敗は、多くの場合、共通の問題によって引き起こされます。また、多くの場合、技術レベルではなく、管理・コミュニケーション面が問題となります。
オフショア開発の蓄積された経験から、日本人専門チームがオフショア開発チームをモニターし、改善活動を日本人メンバーがリードすることで、初めてオフショア開発を導入するお客様においても、一定品質の生産性を得ることができます。
ただし、大規模プロジェクトや、要件定義・詳細設計を日本側で行う場合は、こちらの組織だけでは、対応が難しく、別途SEやアーキテクトのアサインが必要となります。
以上、4つのタイプで比較をしておりますが、選定において、最も重要なのは、品質の平準化です。
クライアント側の経験や、オフショアパートナー側のチーム、担当者単位で、プロジェクトの成否が決まる、ということは避けるべきであり、新規に構築されるチームにおいて、どのようにリスクを見込んだプロセスを実行し、また、問題発生時には、いかに適切に改善していくことができるか、が大切です。
まずはプロジェクトを開始する前に、
「誰がチームのプロジェクト品質を管理するのか?」
「問題発生時に、誰が改善活動を推進するのか?」
といった問いを双方で重ねることで、社内外含めた体制が適切に組まれているのかを評価することができます。
プロジェクトの状況は一つとして同じではありませんが、情報や技術格差をいかに、なくしていくかが最も重要です。参考になりましたら、幸いです。
また、具体的な各タイプの体制図イメージを含めた本編ファイルのダウンロード(無料)をご希望の場合は、ページ下のフォームよりお申込下さい。
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